4丁目69番地 猫探偵フランシスの家
家族と原作紹介
 えー、猫探偵と言っても、迷い猫専門の探偵とかいうんじゃありません。猫が探偵なんです。当然被害者も猫、犯人も猫。
 猫を使ったミステリは星の数ほどありますが、その中でも最高!と私が考えるのが、トルコ系ドイツ人作家アキフ・ピリンチの“Felidae”シリーズ。シリーズと言っても2作しかありませんが、『猫たちの聖夜』、『猫たちの森』という題で、早川書房から翻訳が出ています。
 何が最高って、もちろんミステリとしておもしろいのはもちろんですが、普通の猫ミステリじゃ猫はほんの刺身のツマ、なのにこれは徹底して猫の視点から描かれていて、人間はほとんど寄生動物ぐらいの扱いしかしてもらってない(笑)ところです。しかも登場猫たちが1匹残らず個性的で魅力的。中でも、かわいくて、賢くて、かっこいい主人公のフランシスに参ってしまって、「どうしてもフランシスを飼いたい!」と思ったのが、この家を作ったきっかけです。
 しかし考えてみたら、独身男とペットだけの家というのは「ペット愛好家の家」でやっちゃったんですよね。もっともあれは『ペット&ガーデニング』を買ったうれしさに、とにかくペットをいっぱい飼いたいために即席で作った家なので、あまり気にしないでください。
 
 フランシスは独身の雄猫です。しかもエキゾチックな外人美女ならぬ輸入種の美猫にモテモテのハンサムボーイ。原作じゃグレーの猫というぐらいしかわからないんですが、デフォルトではグレーの毛色がないんですね。そこでSim Petsからダウンロードしたスキンを使いました。
ちなみにこれがドイツでアニメになったフランシス(写真左)ですが、けっこう似てるんじゃないかな? もっともこれもファンの間じゃ「似てない!」っていう話もあるようですが。しかし、シャーロック・ホームズのところでも書いたけど、実在しないのに似てるとか似てないってどういう意味だ?(笑)
 というわけで、フランシスを作るのはかんたんだったのですが、困ったのはフランシスの相棒のグスタフ。フランシスの飼い主なんですが、フランシスに言わせると「猫かわいがりテロリスト」のグスタフは、何から何までフランシスとは対照的に、デブでドジでのろまで不器用な独身40男。友達もいないし、もちろん女になんかまるっきり縁がなくて、フランシスだけを溺愛しています。そのグスタフをフランシスは口では思いっきりバカにしてるんですが、実は愛してるってあたりが泣かせます。
 グスタフの唯一の趣味はエジプト研究です。職業は作家で、でも仕事がなくて女性誌向けにでっち上げの告白ものなんか書いてたんですが、趣味で出版したエジプト学の本が注目されて、いつのまにかエジプト学の権威になってしまいました。実は学があって頭のいい人らしいです。
 「これまで見たあらゆる動物の中で最もデブ」とフランシスに言われるぐらいなんで、とりあえずデブ・スキンを使うのは決まっていたんですが、顔で困りました。なにしろグスタフがどんな顔をしているかまったく手がかりがないので。
 そこでしかたなく、ドイツ人ならやっぱり金髪だろうと、それになるべく人の良さそうな顔を選んだら、こんな人になりました。ただ、原作ではもう40代後半なんで、原作よりだいぶ若返ってしまいましたね。そこで、これは原作よりかなり前の時代、フランシスがまだ子猫でもらわれてきたばかりのころ、という「設定」にしました。

原作についても一言

 でやっぱり、この小説のどこがそんなにおもしろいのか一言いわせてください。
 猫の探偵というと、なんかパロディかユーモア・ミステリみたいですが、実はちゃんとした本格推理ってところもすごい。もちろん犯人捜しや、あっと驚くどんでん返しの楽しみも。
 しかも最近はやりの怪奇趣味やスプラッタ趣味まで取り入れてる。もちろん猫のスプラッタですが(笑)。
 それと笑わせて泣かせるところ。何が笑えるって、語り手のフランシスのユーモア感覚がすばらしい。いかにも探偵風にキザなんですが、それもいかにも生意気な猫が言いそうなことなんで笑っちゃいます。(猫は単に口の構造が違うからしゃべれないだけで、人語がわかるという設定になってます) これを読むと「うちの猫もきっと人間の言葉がわかってるに違いない」と思うのは確実。なのに言うことをきかないのは人間をバカにしているからです(笑)。
 逆に泣かせるのは、残虐な殺猫事件の影には、必ず動物たちの置かれた悲しい境遇があること。本当の悪人、じゃなかった悪猫は1匹も出てこないで、結局は人間の身勝手さが引き起こした悲劇なんですよね。特に2作目、人間の都合による動物保護とか環境保護を痛烈に皮肉った落ちには舌を巻きました。
 猫の生態がリアルに描かれてるのも愛猫家には魅力です。このピリンチという作家は、他に書いてるのは猫のノンフィクションていうぐらいで、よっぽど猫に取り憑かれた人みたいです。

またゲームの話

 で、ゲームのフランシスとグスタフはどうしているかというと、けっこう仲良くやってますが、グスタフにはもっとフランシスをかまってほしいのにな。仲良くなるまでけっこう時間がかかるようです。
 それでグスタフのほうは猫だけが友達でも大いに満足してるんですが、フランシスは社交値が下がり気味。美猫をお嫁さんにもらってやろうかどうしようかと考えているところです。
 ところで、フランシスは哲学の本は読むし、コンピュータも使っちゃうような(ここんとこはあまりリアルでない)天才猫なんですが、それにしては自分のしっぽを追っかけて遊んでたりするのは‥‥(笑)。
 まあ、まだ子猫だからしょうがないか。


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